Born(スナック)
綾部で最も歴史のあるスナック
店のオープンは1959(昭和34)年5月。現在、綾部で最も歴史のあるスナックだ。市内一の歓楽街だった月見町で60年余り、盛り場が移り変わってきた栄枯盛衰の中で、地に足をつけて営業を続けている。
同店は初代オーナーの柴田利子さん(故人)が「洋酒喫茶Born」として開業した。昼間は喫茶店、夜は洋酒バーというスタイルの店が綾部に初めて誕生したことから、「誕生」を意味する「ボーン」という言葉が屋号として付けられた。その後、昼間の喫茶をやめ、スナックとして親しまれている。
利子さんの長女で現在の2代目店主である柴田鈴江さん(72)と、次女で店を手伝っている大槻吉美さん姉妹にいくつか質問をした。
月見町の灯は消さない!
お二人はいつごろからこの店で働いておられますか。
柴田 高校卒業後の18歳から母親と一緒に店に出るようになりました。当時はバーテンダーがカクテルを作る店が何軒かあったので、私も20歳の時に大阪のサントリーのスクールに通って、バーテンダーの資格を取りました。綾部で女性バーテンダーは私一人でした。
先輩方が綾部に日本バーテンダー協会の支部をつくられたので、先輩方と一緒に技術を磨かせて頂きました。28歳の時に母から店を引き継ぎました。
大槻 若い頃は会社勤めをしていたので、店が忙しい時に手伝ってきました。それでも勤めて40年くらいになります。
お勧めメニューは。
綾部の地酒「綾小町」をベースにした3種類のオリジナルカクテル「綾部ロック」と「弥仙おろし」「ムーンメモリー」です(各1千円・税込み)。
綾部ロックは、味は辛口で「ガツン」と味わって頂く感じです。弥仙おろしはカクテルグラスの縁に抹茶塩を付けています。特産品の綾部茶を取り入れた一品です。ムーンメモリーは、日本語に訳すと「月」「思い出」になるので、「月見町の思い出」として飲んで頂きたいです。
ほかにも、母が考案したロングドリンク「ボーンフィズ」もあり、今も人気です。
接客で心がけていることは。
会話も含めてお客さまに楽しく、おいしいお酒を飲んで頂き、「明日また頑張ろう」という気持ちになってお帰り頂けるように努めています。お酒は人格を変えてしまう怖いものでもあるので〝良いお酒〟を堪能していただけるようにも接しています。
この仕事をしていてうれしいことは。
長くごひいきにして下さっているお客さまが多いことです。以前、病気になられてしばらく顔を見なかった方が、「良くなったんで真っ先に来たで」と、元気な顔を見せてくださった時もうれしかった。
普段は外へ飲みに行かれず年に1回だけここへ来られるお客さまもあり、ありがたいです。これまでいろいろなお客さまから楽しい話や、ためになる話を聞かせて頂いたことも、うれしいというより財産です。
この仕事をしていてうれしいことは。
府内の緊急事態宣言が解除されて2021年3月8日から店を開けています。おもてなしの心でお客さまを迎えることと、店内に花を生けて飾ることを欠かさないようにしています。花を見ると心が和むので、お客さまにとってもそんな場になるようにしたいです。
最後に一言。
月見町に若い世代の人たちにもっと飲食に来てもらいたいです。通りは石畳の舗装もされて風情があり、〝敷居の高い〟店もありません。賑わいがなくなって惜しいですが、「月見町の灯は消さない!」という思いで、姉妹二人で力を合わせて頑張っていきます。
Born(ボーン)
綾部市月見町上正屋14ー10
電話 0773-42-0362