海鮮居酒屋 ふじ田
自分が楽しいと思える店に
魚料理店は普通、献立に合わせて魚市場で魚介類を仕入れるが、藤田剛さん(44)が営む海鮮居酒屋「ふじ田」=岡町=は真逆。時季やその日の天候により底引き網漁などで競り場に並ぶ物が異なるため自分の目で見て仕入れ、メニューを考える。
だから同店の客は、その日に店へ行かないと藤田さんが自信を持って出す当日のお薦め料理が分からない。「こんな店があれば行きたいなと思っていましたが、それが今出来ているかなと思います」。
藤田さんは高校を出て辻調理師専門学校で和・洋・中を学び、大阪のすし店や高級割烹料理店、名古屋と京都の有名ホテルの厨房などで和食を中心に修業。最後は京都市内の天然活魚料理店「さかな波波(なみなみ)」で7年の経験を積み、古里に帰った。
岡町で父が長年経営してきた割烹料理店を引き継ぎ、2014年に今の店を開業。「どんな仕事も、その町になくてはならないもの。この店もそうでありたいし、自分が楽しいと思える店にして綾部がもっともっと活気ある町になれば」と今後の夢を語る。
修業積み古里で魚料理店開く
お父さんの店を継ぐのは初めからの人生設計だったのですか。
いえ、違います。北新地の高級割烹料理店や京都のホテルなど様々な厨房で働きましたが、自分の料理を味わって頂くお客様の評価が直接わからない裏方の仕事がしんどくなり、カウンター越しでお客様と会話ができる店を持ちたいと思うようになりました。
「ふじ田」の最大の魅力は何ですか。
普段は舞鶴の魚市場へ行き自分の目で見て「これはいい」と思う魚介を仕入れ、素材の良さを最も生かした献立をつくる。明日は日本海がシケるなと思ったら、昔なじんだ京都の市場に行く。だから、その日に店へ行かないと分からないという意外性が魅力と言えます。自分でも楽しいし、そんな店がつくりたかったんです。
この仕事をしていて面白いと思うことは。
日本の食文化の違いと奥深さです。たとえば日本海側の近海では、ウツボを獲る漁師さんも、捌ける料理人さんもあまりいません。しかし和歌山や高知などでは昔から、食べる文化があったり日本海側にしかいない魚だったり太平洋側にしかいない貝があったりします。サバの場合、日本海側は生で食べることがありますが、太平洋側はあまり生では食べません。
素材の良さ生かした献立
献立の多さに驚きますが、ふだん気を付けておられることは。
献立の数は、一つの魚でも捌き方というか調理法次第で数え切れません。アジ一つとっても捌いてみて「塩焼きがいいとかフライがいいとか、ナメロウにしよう」などとね。人気のあるノドグロは切らさぬように気を付けています。
珍しいメニューをいくつか挙げて下さい。
(前にあった皿を手に取り)「貝の一種〝亀の手〟はいかがでしょう。塩ゆがきして剥(む)いて食べると抜群です。底引き網漁で獲れるイバラモエビ、まれに水揚げのあるウチワエビ、ゾウリエビや、冬場はババアの鍋料理もアンコウのような味で美味です。
海鮮料理のほかにもいろいろとありますね。
これまでに料理は一通りやりましたので魚肉をミンチにしたギョーザとかサラダ料理などなんでも。締めのメニューやデザートもいろいろとあります。
店のスタッフは。
私と妻、私の両親のほか、忙しい時は近所に住む姉も手伝ってくれます。
営業態勢は今、微妙ですね。
本来は日曜定休(翌日が祝日の時は月曜も休み)で営業は午後5時~同11時ですが、新型コロナの関係で行政の指示に従っており流動的です。予約や出前の注文などの際は当分の間、念のため事前にお電話をお願いします。
海鮮居酒屋 ふじ田
綾部市岡町弓場4-5
電話 0773-42-1518
綾部市観光ガイドWEB