移住立国あやべ

エリアArea

はとや文具店

「他市からわざわざ来てもらえる」店に

縁のなかった文具の世界に飛び込んで40年余り。西町1丁目に店を構える「はとや文具店」代表取締役の芦田政博さん(75)は今、「人生の集大成として、何かを残していかないと」との思いを強くしている。数年前から計画し、現在進行中なのが額縁・画材を数多く取り扱うこと。「採算の観点からは大変厳しいが、あえて充実させれば福知山や舞鶴、宮津などからも、『わざわざ綾部へ』来てもらえるような店になる」と、期待する。
同店は1951(昭和26)年11月、芦田さんの義父・信一さん(故人)が創業した。芦田さん自身は福知山市の出身。綾部高校機械科を卒業後、関東で技術系の派遣社員として、図面をひくなどの仕事をしていた。特殊な仕事のため待遇はよく、「初期のころの宇宙開発事業団の仕事に携わったこともある」という。

エプソンとキヤノンのインクジェットプリンターのインクを徹底的に在庫しているのも芦田さんのこだわりの一つ。最新型はもちろん、古い機械のインクも売れ残り覚悟で仕入れている

その後、結婚に伴い31歳で綾部へ。それまで縁のなかった文具を取り扱う商売の道に入ることになった。わずか2年後、法人化とともに義父から経営を譲り受け社長に。地元を知るため、消防団や綾部商工会議所青年部を始め、自治会や商店街の組合などで人との付き合いを大切にしてきた。そんな芦田さんに店の現在と未来を聴いた。

「はとや」のハトは平和の象徴

「はとや」というのは不思議な感じがする店名ですが、由来は何ですか。
父から由来を聞いたことはないのですが、創業の前年(昭和25年)に綾部市が世界連邦都市宣言をしているので、恐らく平和の象徴であるハトがからんでいるのではないかと思います。

文具店を取り巻く環境は以前と変わりましたか。
昔と違い、昨今は大型店の攻勢で小規模店頭販売の小売業は以前にも増して厳しい状況に至っており、当店も同様です。経済、特に商業分野において綾部は福知山に後れを取っているため、福知山や舞鶴に負けんようにと、これまでやってきました。特に私は福知山生まれの者として福知山を常に意識して事業をしてきました。

現在の店舗外観

店いっぱいの在庫が魅力 まずはご相談を

店の今後の新たな方向性にも関係があるのでしょうか。
福知山や舞鶴で額縁や画材を取り扱っておられたところが最近は廃業されておられます。ならばと、額縁・画材を多く扱うことにしました。美術関連の商品だけを扱うのでは商売として厳しいですが、文具店として文房四宝(筆・墨・硯=すずり=・紙)の延長線上にあると考えています。

具体的にはどんな商品があるのでしょうか。
例えば画材に関しては、画材メーカー「ホルベイン」の協力で特に水彩やアクリル、油彩絵の具のほか、SM~F100サイズの張りキャンバスというふうに、ほかの関連商品も含め多くを取りそろえています。また、書道に関しても各教室のご協力で半紙、画仙紙、筆、墨などの書道用品を充実させています。更に額縁については店の2階を利用して、油彩や水彩、書道、色紙、デッサン、賞状額などの在庫をたくさん持っており、相談にも対応しています。
店いっぱいの在庫を持っているのがうちの強み。事業として考えると多くの在庫はリスクですが、店で売っていこうと思えば実物の商品をたくさん置いて、見てもらわないといけません。今は〝百均〟に行って、ホームセンターに行って、なかったら文具店にという流れの方が多いですが、できればまずは最初に相談してもらえたらうれしいですね。

ズラリと並ぶ各種の絵の具

額縁は店の2階の壁沿いに取りそろえている

最近、特徴的なホームページを作られたようですね。
画材に関するものを昨年10月、額縁に関するものは今年の正月に長女がつくりました。内容に商売っ気があまりないからか、グーグルのAIが判断して検索上位に上がってきているようですね。「京都北部画材」で検索してもらえれば、すぐに出て来ますので一度ご覧ください。

 

はとや文具店
綾部市西町1丁目60
電話 0773-42-0038
ホームページ