ヒフミ電工
代表取締役の荻野浩志さん(59)が記者に差し出した名刺。受け取ってすぐ、「※この名刺は古いカレンダーの裏面を使用しています」という小さな文字が目に飛び込んできた。そういえば、手触りも通常の名刺と異なり、紙の裏面特有のものだ。ヒフミ電工(本社・西原町)が2009(平成21)年に認定取得した環境マネジメントシステム規格「KES」。この名刺一つにも、その精神が宿っている。
1972(昭和47)年、荻野さんの父である靖巳さんが当時、自宅があった野田町で電気工事業として同社を創業した。85(同60)年に法人化し、94(平成6)年に現在地に新社屋が完成。そのころから電気工事業に管工事業、電気通信工事業、機械器具設置工事業を加えた4本柱で事業を展開している。父から会社の代表の座を引き継いだのは2015(同27)年だった。
社名の「ヒフミ」の由来を聞くと、「よく聞かれます」と前置きした上で、「創業当時、綾部に電気工事部門も手掛けている同姓の会社があり、『荻野電工』とはしにくかった。そこで『一二三と、トントン拍子に商売が進むように』と願って付けられました。覚えてもらいやすいということもあったのかもしれませんね」と笑みを浮かべた。
そんな荻野さんに同社について、いくつか質問してみた。
仕事をする上で気をつけておられることはありますか。
私たちは技術職ではありますが、人とのコミュニケーションが仕事の基本になると思っています。大工さんなど現場の他の職種の方と、例えば段取りで融通し合うといった場合に普段から話し合えているような間柄でないと、うまく仕事が進みません。現場に携わる人すべてのコミュニケーションで、スムーズな施工ができると思います。
休憩中も含め、うれしい、楽しいを互いに表現して仕事を一緒にしていると「お前のためなら」といってもらえるような間柄にもなってくるのがうれしいですね。
人脈を大事に
そういう点では、本業のお仕事以外に様々な団体などでも活躍されていますね。
消防団では46歳で退団するまで25年間、お世話になりました。2006年から1期2年は団長もさせてもらうなど、退団時では人生の半分以上で消防団活動に携わらせてもらったことになります。
このほかにも、25歳で入会して40歳の卒業までいた綾部青年会議所や、続いて入った綾部商工会議所青年部、更には昨年度に会長をさせてもらった綾部ロータリークラブには9年前に入会させてもらっています。
人脈が大事だと考えてこれまで活動してきました。巡り合った方とのご縁が仕事につながっている面も多々あります。新型コロナによる影響では昨年の第1波のあと、韓国から製品が入ってこずに仕事を断ったこともありましたが、私の場合は仕事面よりもむしろ、各種団体における人的交流の面で影響が大きいといえるかもしれません。
地域社会活動と仕事は「車の両輪」
将来ビジョンを聞かせてください。
昨夏、I・Tビルのエアコン工事の際、綾部商工会議所の職員のみなさんの仕事ぶりを間近で見させてもらい「こんなことも、しとってんか」とびっくりしました。我々もKESによる決め事の一つに「地域貢献」を挙げています。これだけは、ずっと続けています。地域社会の活動と仕事は車の両輪です。
幸い長男がこの仕事を継ぐと言ってくれているので、親から受け継いだものを子につなぐことができることを喜んでいます。事業の種類を増やしたことでできることの幅が広がりましたが、広域の仕事、資格がないとできない仕事も多く、いろんなシーン、シチュエーションがあり、今も日々勉強です。
綾部市西原町南中山12―1
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