移住立国あやべ

暮らしLife

地域のみんなでお味噌作り

さまざまな調味料がありますが、その中でも特に、お味噌はほぼ毎日食べるもの。
発酵食品という観点からも注目されています。

私が大阪で暮らしていた時は、マンションの狭い台所で、買ってきた大豆を水に浸し、黙々と茹でて、淡々と潰して…と骨の折れる作業を一人でしていました。ところが綾部に引っ越してきてからは、近所の人たちと、地域の公民館の広い作業場で和気あいあいと味噌つくりを楽しんでいます。

麹作りからはじまり、材料もほとんどが自分の田んぼや近所で作られたものという究極の地産地消。
3日間にわたる毎年のお味噌つくりの様子をご紹介します。

 

準備

味噌作りにあたり準備することがあります。
・お米と大豆を同量用意する。
平均して1家で2升作ります。1升が10合なので、「2升分味噌を作る」場合は、20合のお米と20合の豆が必要です。
今年我が家は、3升分作って友人とシェアしました。

家で豆を作る人も多く、使う豆は大豆、青豆、黒豆、変わり種でひよこ豆なんてのも。
豆の皮を丁寧に剥く人、剥かずに入れる人もそれぞれ。

今回は大豆9割と丹波黒豆を1割にしました

・お米は2日前に浸水、翌日(前日)に水からあげる

吸水して重くなるお米

 

1日目

市内12地区にはそれぞれ地域の公民館があり、その中にこのような共同で使用できる作業場があるところが多いです。
毎年2月になると、数件のグループが数日間ずつ予約を入れ、交代で味噌つくりを行います。

初日はまず麹作りから。

各自持ち寄ったお米を蒸し、冷ましたのち麹菌と混ぜ合わせます。

大きな鍋の中で各家庭の米が混じらないように、布袋に入れて蒸します

麹菌を綾部に来て初めて見ました!

蒸したあつあつのお米をムシロの上で広げひと肌まで冷ましたのち、麹菌を上からさらさらとふりかけて、手際よく混ぜていきます。

粒を潰さないように気を付け、混ぜ終わったら米袋に入れます。
平らにならし、タオルをかけて育苗機に入れていきます。

我が子を慈しむかのように丁寧に並べます

38℃程度にセットして、一晩寝かします。
この作業をその時の人数分、だいたい15回分繰り返し行います。
「このお米は○○さんのや。えらいきれいなお米やな」「私に似とるんやな~」とおしゃべりしながら賑やかに過ぎていきます。

 

2日目

前日育苗機に入れた麹を、混ぜ返す作業です。
一旦取り出しムシロの上に広げ、かるくお米に傷を付けるように優しくこすりながら混ぜます。
そうすることで麹菌がより反応して発酵が進むそう。

あたり一面、麹の香りがぷうんと漂い、とても幸せな気分になります。
麹の力でお肌がつるつるになるので、みんなこぞってこの作業を楽しんでいます。

塊があったら丁寧にほぐし、パラパラの麹にします。
そしてまた米袋に入れ、ふたたび育苗機に戻しもう一晩温かいところに置きます。

作業場の片隅では、浸水中の豆が今か今かと出番を待っています。

間違わないように名前を書いた布が一緒に入っている

3日目

いよいよお味噌つくりのメイン!
圧力鍋で豆を茹で、それを冷ます作業を人数分行います。

次から次へと茹でて、冷ましての繰り返し。
蒸気の熱気と茹で汁の熱さで、気の抜けない作業です。

外に豆を置き、冷気で冷やします。
空気のきれいな綾部だからこそできるワザ!

2月の冷たい空気でアツアツの豆もすぐひと肌に

塩も、それぞれが作る分量に応じて、あらかじめ計量してくださっています。
ちなみに私が参加しているグループは、お昼ごはんを作ってくれる方もいらっしゃるので、とっても助かっています。作業に集中して、おなかがすいたらみんなで昼ごはんを囲み、あーだこーだと話す時間が楽しくって、お味噌つくりに参加している部分が大きいかもしれません。

完成した米麹を大きなタライに移し、

塩を加え、

豆を加え軽く混ぜます。

手間暇かけて作った豆と米と塩。
ずっと見ていたくなるくらい愛おしいものです。
みんなでする手作業の楽しさが詰まった味噌つくり。

そしていよいよクライマックス。
ミンサーに入れて上から押し出すと、ミンチ肉のようににゅるにゅる出てきたものをおにぎりのように丸めて味噌玉を作ります。
それを持ち帰りようのカゴや段ボールに詰めていきます。

入れる人も丸める人も行き着く暇ありません!

役割を交替しながら、立ったり座ったり、押し出したり丸めたり、とおしゃべりしながら手も忙しなく動きつづけます。

完成

出来上がった味噌は家に持ち帰り、保存用の容器に詰めていきます。
甕や木の樽やタッパーウェアだったり、こちらも人それぞれ。

まず焼酎などで容器を消毒し、味噌玉を箱から取り出して、

空気が入り込まないようにぎゅうぎゅうと詰めていきます。

綾部は湿気が多い地域なので、どうしてもカビができちゃう不安があります。
私は例年、近所の酒造の酒粕を蓋にして保存してますが、この方法だと今までカビが出来たことはありません。
食べる時はその酒粕ごとお味噌を使います。

そして半年から1年程度寝かすと、美味しいお味噌の完成です。