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【ふるさと探訪】井根山100基の句碑、歌碑

綾部が育んだ文化の香り

新綾部大橋を渡る時、由良川のほとりにたたずむ井根山が目に入るが、その登山道にひっそりと建つ100基もの句碑、歌碑がある。建立から四半世紀。訪れる人もまばらとはいえ、そこは確かに綾部が育んだ文化のふくいくとした香りに満ちている。

約800mの登山道に約6.5m間隔で句碑、歌碑が並ぶ。

 

建立から四半世紀たち今も
綾部の風土や文化、歴史を詠む

平成元年、当時の綾部市観光協会会長の西村勝美さん(故人)の発案で、野田町の井根山に綾部の風物や文化、歴史を詠んだ俳句や短歌の石碑100基を建立しようという話が持ち上がった。同年中に第1次公募が行われ、定数の50基を上回る56基の申し込みがあった。

翌春にはすべての建立が完了するとともに、残る44基を第2次公募。同年秋にはすべての設置が完了したことから、事業完了を祝って記念碑の除幕式が行われ、谷口昭二市長、西村会長、田中雅風・市文化協会長、河野義海・俳句会代表、横山正・短歌会代表(肩書きは当時、すべて故人)の5人が除幕した。

標高165mの井根山はこのころ、市が市民の憩いの場とするための「花と緑の都市モデル地区」事業として整備を進めていた。石碑は約800mの登山道の脇に、ほぼ6.5m間隔で建立。内訳は句碑66基、歌碑31基、漢詩碑3基で、すべてオリジナル作品となっている。

 

記念碑は現在も静かに井根山にある。

記念碑の碑文にはこう刻まれている。「この句、歌碑が四季折々に移る花とみどりの山容に彩られ、朝な夕な、悠久の由良の流れに映え乍ら、静かに古都の風物を詠い続け、今後末永く名勝として広く世人に親しまれることを祈念する」

句碑、歌碑を建立した人たちは、完成と同時に「井根山碑の会」を組織。石碑の維持管理に努めてきたが、会員の高齢化などにより平成9年にすべての石碑を市に寄贈している。

 

 

Vol.5に続きます。