みつる土地家屋調査士事務所
山林の守り人から「境界のプロ」へ
市内で生まれ育ち、高校を卒業したあと、市森林組合で26年間、綾部の山林を育て守ってきた髙橋充さん(45)=高津町。その間に、山の境界が徐々に分からなくなっていくという状況を目の当たりにした。所有者が亡くなったり、土地を受け継ぐ若い世代の減少、所有者の山への関心がなくなっていくなど、その理由は様々だった。
そのような状況に対して「何かできることはないだろうか」と考えるようになり、〝境界のプロ〟である「土地家屋調査士」のことを知った。山の仕事を続けながら資格を取得して、2020(令和2)年9月に独立、開業した。
新型コロナの影響で前例のない年となったが、多くの人に助けられて事務所の開設にこぎつけた。「親しみを持ってもらえるように」と世話になった人からのアドバイスを受けて、名前の「充」を平仮名にして事務所の名称に付けることにした。
長年綾部で暮らし、仕事を続けてきたが、改めて人の優しさに触れて感謝の気持ちでいっぱいになったという。内装を自身で手がけたという真新しい事務所で話を聞いた。
「土地家屋調査士」と聞くとピンと来ない人が多いのでは。
一般にはなじみのない職種ですので丁寧に説明したいと思います。例えば、隣家との土地の境界として樹木を植えたり、塀を設置するなど、いわば口約束や互いの暗黙の了解で行われているものをそのままにしているといったことがよくあります。家を建て替えたり、塀を建て直すといった新しい状況が発生すると、境界のことで隣家に立ち会いを求めると以前とは違う言い分が出てきたり、相手側に建てられた塀がこちらに越境しているように思えたりするなどトラブルにつながる可能性があります。
そのような状況でお役に立つこともできますし、いざ土地を相続したり、してもらったりといったことになる前にご相談いただけると、測量をして境界の確定をしっかり行って登記しておくので、後々にも残り安心です。
他にはどのようなことをするのですか。
先ほどお話した事例のようなことを「土地の境界確定」といいます。ご自分の所有する土地がどこからどこまでなのかを隣の方にも立ち会っていただき、しっかりとした杭などを打って改めて確認することです。
他には、一つの土地を二つに分けたり(分筆)、また二つの土地を一つにまとめる(合筆)といったことも行います。また駐車場として利用していた土地を「雑種地」と呼ぶのですが、そこに建物を建てたときには「宅地」に変更する必要があります。用途に応じて土地の名称を変える「地目変更」を行います。
さらに家を建てたときなど、どのような土地にどのような建物が建っているのかを調査して登記する「建物の表題登記」、家を壊したときの「建物の減失登記」といったものもあります。主な業務内容は以上のようなことになります。「こんなことでも相談できるのか?」といったことや、分かりにくい場合はお気軽にお尋ね下さい。
丁寧に誠実に対応したい
この仕事で心がけていることは何ですか。
開業してから間もないので、経験では先輩の調査士の方々には及びませんが、今の私にできることは丁寧に誠実に対応することだと思っていますので、一つひとつのご依頼と出会いを大切にして取り組んでいきたいと思っています。
あなたの事務所だけの魅力といえるものを教えてください。
前職での経験から木の伐採ができるので、「境界付近の木を伐ってほしい」「隣の家に枝が伸びて迷惑をかけてしまっている」といったご要望にも喜んでお応えします。
思い描く将来のビジョンがあれば聞かせて下さい。
年々人口が減少している市内の状況をさびしく思う気持ちと同時に、この仕事で「綾部に貢献できることがあればやりたい」という思いも持っています。ゆくゆくは綾部の山林を美しく保つお手伝いもできればと思っています。
綾部市駅前通33 あやべピースビル3階
0773-45-8898