古民家のチェックポイント2 「現地で確認」
里山風景に溶け込む古民家
長年の風雪に耐えて現代住宅にはない深い趣のある古民家は、里山風景に自然に溶け込み、住む人、訪れる人に穏やかな印象を与えてくれます。ほとんど木や石、土、藁といった自然素材で作られていることがその大きな理由でしょう。
さらに、そうした自然素材は非常に強度が高く、現代住宅と比べるとはるかに耐用年数が長いという特長があります。
しかし100年以上もの年月を経た古民家は、あちこちに劣化が見られるのも確かです。綾部市の空き家バンクなどで気になる古民家があったら現地で確認することになりますが、その際に気を付けておきたいポイントを解説していきます。
ハザードマップや立地を確認
農村では家よりも農地の日当たりを優先するのが当たり前なので、家は山裾に沿って建てられることが多かったのです。
そこでまずはハザードマップの確認が不可欠です。地形をよく見て、水が走りそうな地形かどうか、土砂崩れが起こった際に家屋に被害が及ばないかを確認しておきましょう。ハザードマップはネットからでも入手できます。「あやべ定住サポート総合窓口」の担当者にもよく話を聴いておくことが大事です。
家の近くに水の流れがある場合は、大雨のときに増水、氾濫の恐れがないかも要チェックです。
家の周りの環境、設備
次に家の周囲に側溝があるか、それがきちんと機能しているかどうかをチェック。これがおろそかになっていると、山から下りてきた水分が家の床下にまで入り込んで基礎から腐りやすくなり、さらに湿気を好むシロアリを呼び込むことになります。また、豪雨のときには側溝が機能しているかどうかで被害に大きな差が出ますので、側溝のない家は住む前に検討しておくと良いでしょう。
家屋のチェックポイント
家屋を見る場合に気を付けることは、前回に触れた屋根の観察に加えて次のようなことがあります。
縁の下をのぞき込む。暗くて見えづらいですが、懐中電灯を持参して、縁の下をのぞいてみましょう。湿り気がないか、基礎が腐っていないか、シロアリの被害はないか、瓦礫や廃材などが無造作に捨て置かれていないかを観察します。古い家ですからある程度の腐りは仕方がないとしても、湿気が多かったら要注意。改修してもまた腐る可能性があるためです。湿気は外構工事や床下に換気扇を設置することなどで改善できます。
家の傾きを観察。建具を動かしてみて、開かない(閉まらない)場合や、襖や窓と柱がきっちり合わず、隙間ができてしまう場合も家が傾いている可能性大です。ただし、ジャッキアップして補正することにより、ある程度の傾きは直せます。
天井の染みを観察。染みがある場合は雨漏りの可能性があり、屋根の改修に費用がかかることがあるほか、その状態が長く続いていたとすると腐っている箇所があると考えるべきでしょう。
床の状態を観察。歩いてみてフワフワするような感触があったら床板や根太、大引きなどが腐っている可能性があります。
古民家はしっかりと手を入れる前提で
長い年月を経た家なので、問題のない家はありません。必ずどこかに欠陥や劣化が見つかるはずですが、ほとんどのことは改修可能です。気になる耐震性能や断熱性能もリノベーションの際に改善できます。ただし、環境だけは変えられないため、そこが決め手と言っても良いでしょう。
新築の家を手に入れることを考えれば、ほとんどの古民家はかなり手頃な価格設定です。
ゆったりとした敷地と広々とした古民家を手に入れて、しっかり手を入れることによって安心、快適に暮らすというのも賢明な選択肢の一つではないでしょうか。