移住立国あやべ

暮らしLife

【インタビュー】
塩見直紀 vol.2 移住編

「半農半Xという生き方」を提唱されている塩見直紀氏へのインタビュー。今回は「移住」をキーワードにお話を伺いました。

Q:半農半Xの影響を受けて綾部へ移住してくる人も多いです。塩見さんの感覚として実際に半農半Xを実践している人は以前に比べて増えていると感じますか?
A:想っていた人の多くは、だいたい始めているのでは、という印象です。「これから始める人」「そうした暮らしをまだ頭に描いていない層」の開拓がいるのではと思います。そこを増やさないといけません。

Q:移住のハードルを高くしているものは何だと思いますか?
A:空き家の選択肢が少ないことも大きいと思います。3軒から選べと言われてもなかなか大変です。ぼくはよく結婚に例えるのですが、「この3名から誰かと結婚を」的な状況が「今」ではないかと思います。そのなかに赤い糸の方がいればいいのですが。笑

移住者には小さくても「農ある生活」を望む人は多い

Q:綾部に移住した人たちを見て、どう感じますか?
A:特にぼくは、移住された方の「ソフトパワー」に注目しています。「新しい魅力をつくる力」です。先人がつくってくれた精神風土に加え、新たな「文化の香り」がまちづくりには必要です。地元の人だけでは創れない文化があるのです。

Q:田舎で暮らすことの良さ、メリットは何でしょうか
A:サバイバル能力もあがるし、感性を磨けることが大きいのではないでしょうか。ぼくはレイチェル・カーソンがいまから50年以上前に言った「センス・オブ・ワンダー(sense of wonder/自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性)」がもっとも重要な力だと思っています。1つだけ残しておくなら、ぼくはこれが最も重要だと思うのです。なくしてはいけない宝物。これを育めるのが田舎ではないでしょうか。

初秋の頃、エノコログサに朝露がかかり神秘的な景色が広がる

Q:最後に、綾部への移住を考えている人へひとことお願いします
A綾部はあなたの力を必要としています。みなさんが持っているX(天職、ライフワーク、大好きなこと、得意なこと、生きがいなど)を活かしていただけたらうれしいです。すてきな時代を一緒に創っていきましょう。


塩見直紀(shiomi naoki)
1965年、京都府綾部市生まれ。(株)フェリシモを経て2000年、「半農半X研究所」を設立。21世紀の生き方、暮らし方として、「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを1995年ころより提唱。著書に『半農半Xという生き方』など。同書は翻訳されて、台湾、中国、韓国にも広がっている。公式ホームページはこちら