移住立国あやべ

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自然栽培の米づくり

無肥料・無農薬で米を作ってみたい

多くの人は移住して米や野菜を育てています。「自分や家族の食べるものは納得のいくものを」と無肥料・無農薬の自然栽培に取り組む人も少なくありません。

ここでは自然栽培の米づくりの1年をご紹介しましょう。米づくりの方法は人それぞれですので、あくまでも一例としてご覧ください。

つやつやのごはん。自分で米を育ててみたくありませんか?

■苗づくり

稲作のスタートは苗づくりからです。田んぼに「苗代なわしろ」を作って、そこで苗を育てます。
まずはもみを水に浸けてたっぷりと水を含ませ、芽出しをします。

数日~10日間ほど籾を水に浸けておきます。

 

籾を苗箱の土にまんべんなく播き、苗箱を苗代にズラリと並べていきます。

苗箱に土を敷き詰め、籾をまんべんなく播きます。

 

籾を播いた苗箱を苗代に並べていきます。

 

保温のためにカバーをかけて苗を育てます。

 

■荒起こしとあぜ塗り、しろかき、溝切り

苗を育てている間に田んぼの準備をしていきます。

・荒起こし:トラクターなどで田んぼを大まかに耕す作業
・畦塗り:田んぼから水が漏れないように、外周の畦をきれいに塗り固める作業
・代かき:田植えに備えて、田んぼを平らに均し、土をトロトロにする作業
・溝切り:水はけを良くするために溝を切ります。

荒起こしと畦塗りをした田んぼ

代かきをして田植えを待つばかりの田んぼ

溝を切った田んぼ。これで水はけが良くなります。

 

■田植えと田の草取り

稲と田んぼの準備ができたらいよいよ田植えです。

自然栽培は無農薬で行うので、田植え後すぐに草がいっぱい生えてきます。初期の除草がとても大事です。田の草取りが田んぼ仕事の中で一番きついかもしれません。

田植え。田んぼにあらかじめ碁盤の目に線を引いておき、その交点に植えていく方法は早くて確実で楽です。

 

田の草取り。いろいろな道具を使いますが、最後は人間の手で草を取っていきます。暑くなる前の早朝の仕事。

■水の管理

田植えから収穫までは約4カ月。その間、稲の成長に合わせて水を深くしたり浅くしたり、全部抜いて乾かしたり、細かく管理します。

 

■稲刈りとはざ掛け

稲穂がすっかり黄金色になったら稲刈りです。大勢で手刈りをするのは楽しい仕事。大規模に米づくりをする人はコンバインやバインダーという機械を使います。ここでは稲を天日干しにするやり方を紹介しますので、その場合は手刈りかバインダーで刈るかの2つの方法があります。

・手刈り:鎌で稲を刈り、数株束ねてわらや紐でくくります。
・バインダー:稲を刈って自動的に数株を束ねて紐でくくる機械。
・コンバイン:稲を刈って脱穀し、藁を刻んで田んぼに撒く一連の作業を同時に行う機械。

流通しているお米はほとんど機械で乾燥していますが、手間ひまかけて天日干しにしたお米はとてもおいしくなると言われています。

稲刈りの様子。手刈りしています。

 

束ねた稲をはざ掛けにしています。約2週間ほど天日で乾かします。

 

■脱穀と籾摺もみすり、精米

天日で干しあがった稲を籾とわらに分離させることを脱穀といいます。脱穀が終わると袋の中に籾がぎっしり。

脱穀して袋にたまった籾

脱穀が終わったら次は籾摺りを行います。籾摺りとは籾の皮をむくこと。こうして籾が玄米になります。籾摺りの副産物として籾がらが大量に出るので、これも畑などに使います。

機械で籾摺りを行っているところ。米袋に玄米がたまっていきます。

籾摺りの後、玄米を精米するとついに白米が出来上がります。ここまでの苦労が報われる瞬間。精米する際にたくさんのぬかがとれます。糠は栄養たっぷりなので、ぬか漬けに浸かったり、たい肥づくりに使ったり、とても重宝します。

精米機から白米がどんどん出てきます。新米のおいしさは言葉にできないほど。

■田んぼの仕舞い

お米が穫れたところで田んぼ仕事が終わるのではありません。来年に向けて田んぼの仕舞いをします。

脱穀で出た大量の藁を刻んで田んぼ全体に撒きます。田のものは田に返すのが鉄則。これが来年の栄養になります。そして秋起こしといって、田んぼを粗く耕し、撒いた藁を土の中にすき込んでおきます。

押切りという道具で藁を刻んで田んぼに撒いています。

 

米づくりの仕事は楽しい!

このように米づくりには田植え、稲刈り以外にもたくさんの仕事があります。

だからと言って決してハードルが高いわけではありません。ちゃんと覚えれば一つひとつの仕事はそんなに難しくないですし、必ず周りの人が教えてくれたり、応援してくれたりします。友だちと大勢でする田んぼ仕事はとても楽しいですよ。もちろん一人だけでもできますし、家族が手伝ってくれたらシアワセな時間になりますよね。

自然栽培の米づくりは思い切り体力を使って大汗をかく仕事です。でも全然イヤだと感じないのは、やればやるほど結果が出て、暮らしが充実していくからです。自分や家族のためにやっている仕事ですから充実しているのは当然ですね。そして何よりも自分でつくったお米のおいしさは筆舌に尽くしがたいものがあります。穫れたお米が積み上がっていると、それだけで生き抜いていけるような気持ちになれるのです。