移住立国あやべ

綾部からの声Voice

【物部に移住した経緯】北島武虎さん、文絵さん

以前住んでいた場所:京都市

現在の住所:綾部市西坂町

移住の時期:2024年2月

家族構成:夫婦

武虎たけとらさんは1978年生まれ、文絵さんは1981年生まれ

 

移住はいつ頃から考えていたのですか?

数年前までは移住を真剣に考えていたわけではありませんでした。都会生活には特に不満はなかったのですが、自然を身近に感じられない環境には漠然と住みづらさを感じてはいました。

 

移住はハードルが高いと思い込んでいたので、自分たちが移住することをあまりリアルには考えられなかったですね。

 

 

では何が移住を考えるきっかけになったのでしょう。

ある日、京都府北部へふらりとドライブに出かけたのです。京都市から亀岡、南丹、京丹波、綾部、福知山と、やさしい緑の田園風景を眺めながらゆっくりと走りました。「この空気感の中で日々過ごせたら」とぼんやり考えたのを覚えています。中でも綾部の空気感に惹かれるものがあり、その印象が後に移住のきっかけになったのだと思います。「いつかは農業をしたい」という思いもありました。

移住前、夫はフリーライターをしていました。私は家具販売の会社でオンラインショップの運営・管理の仕事をしています。どちらもパソコンさえあれば場所を選ばずにできる仕事なので、コロナ禍の際もリモートワークで問題なく仕事を続けられたのです。そうすると「都会で暮らす意味があるのだろうか」「自分たちの好きな場所で暮らしながら仕事ができるのでは?」と思うようになりました。

 

大屋根が特徴の古民家。玄関扉は建具屋で見つけ、気に入って購入したもの。家に合わせて作り直してもらった。

移住への第一歩をどう踏み出しましたか?

京都市にある京町家「ヒノコ」で綾部市が毎月催している移住の出張相談や講演会に何度か参加したんですが、そこで綾部市の積極的な移住者受け入れの姿勢を知って「綾部、いいな」と感じました。
ヒノコにあったチラシで、綾部の五津合町で開催されている「かんばやし百姓塾」のことを知り、農業がしたいと思っていた私は興味を持ちました。

 

このような経緯で2022年9月、武虎さんは移住への一歩を踏み出します。綾部にアパートを借り、先行して単身移住したのです。
武虎さんは、京都府立農業大学校への入学も検討しながら「かんばやし百姓塾」に参加しました。文絵さんも仕事と折り合いをつけながら京都市から通い、同塾に参加。そこで出会った先輩移住者らの人柄や言葉が移住の決め手になったそうです。

「さっさと移住してしまえばええよ。早よおいで!」と声をかけられました。ほかの移住の先輩方からも話を聞かせていただくうちに「移住って意外と身近なものなのでは?」と思うようになっていったんです。

 

家との出合いは?

綾部との関わりが深まっていくうちに知人から西坂町の古民家を紹介されたのですが、これがまさにイメージ通りの古民家で一目惚れ。家から見える雄大な里山風景にも魅了されました。

 

家の購入を決めたことでついに移住が現実のものになったんです。会社に移住することを話すと、リモートワークで仕事を継続できることになりました。理解のある会社で本当に良かったです。

 

このように、北島夫妻の移住への思いが固まるに連れて周りの人や家、仕事がまるで移住を促すかのように動き始めたのです。移住者の中には「綾部に引っ張られたみたいにどんどん事が展開していった」と北島夫妻と同じように感じている人がたくさんいます。

居住スペースはほとんど土間仕上げに

購入した古民家には蔵と大きな納屋、田んぼ2反と広い畑が付いていました。

畑の一角で野菜作りをしている。これから畑をどんどん拡張していく予定だそうだ。

北島夫妻は地元の村上建設に依頼してすぐに家のリノベーションに着手。和室を除く居住スペースの床をすべて土間にするユニークな仕上がりで、仕事に集中できるようにワーキングスペースもしっかり作り込みました。念願の薪ストーブは、長野県の古民家に暮らすイエルカ・ワインさんによるもの。デザインや機能が気に入って選んだそうです。

陽光が入り、明るく広々としたリビングダイニング。

右がトイレ、左が風呂。

イエルカさん製作の薪ストーブ。あとは煙突工事を待つばかり。

天井は格子柄の無垢材で仕上げてもらった。

キッチンは天板をブロックで支えるシンプルな作りだが、逆にそれが土間によくマッチしている。

仕事に集中できるように作り込んだワークスペース。

玄関を入ったところにある土間スペースで「いつかカフェなどをできたら」と夢をふくらませる。

今の暮らしに不満や不安はありませんか?

不満はないですね。移住後、綾部市役所に仕事を得て、今は週に4日勤務しています。休みの日は畑仕事ができるのが嬉しいところです。やりたいことが多すぎて不満を感じている暇もありません(笑)。今は友人らの田んぼ仕事を手伝いながら米作りを学んでいます。来年からは自分の田んぼで米を育てます!

田舎ってどんな感じだろう?年を取っても暮らし続けていけるだろうか?といった不安は何となくありました。でも今の暮らしがとても気に入っています。ご近所さんはいい人ばかりで、都会にはない人との交流の濃さが新鮮で心地よく、不安は自然と消えていきました。

 

武虎さんは移住後すぐに運転免許を取得。農作業や薪づくりのことを考えて軽トラックも購入しました。以前はハマっていたネットゲームをすることはなくなり、夜は10時に寝て、朝は5時に起きるという生活へと大きく変わったそうです。

移住を考えている人にアドバイスをお願いします

移住して良かったと心から思っています。説明会や講演、イベントなどに通って地元の人と繋がることのが一番ですね。綾部市がヒノコで毎月催している説明会や「あやべ田舎生活実践塾」のようなイベントはお勧めしたいです。

悩むより動くことだと思います。私たちも動き始めたら移住のハードルは思ったほど高くないことがわかりましたから!

 

 

人、家、仕事、農などがパズルがはまるように揃い、充実した里山生活を送る北島夫妻。愛猫「あかねちゃん」と快適な我が家で現在の暮らしを楽しみながら、これからの展開にも胸をふくらませています。

くつろぐあかねちゃん。