【奥上林に移住した経緯】熊田光徳さん
以前住んでいた場所:奈良県大和郡山市
現在の住所:綾部市睦寄町
移住の時期:2023年8月
家族構成:夫婦
食べ物への疑問から移住を考えるように
現在50歳の熊田さんが移住を考えるようになったのは、食べ物への疑問がきっかけでした。
40歳のときに大和郡山市に住宅を購入したのですが、引っ越した途端に体調不良に悩まされるようになりました。病院で診てもらっても原因はわからず、悩んで自力で調べるうちに「食べ物の影響ではないか」と考えるようになったのです。
熊田さんは、世の中に流通する食べ物の多くがいかに不自然であるかを知り、自分で米や野菜を育てることの大切さを痛感すると同時に、政治や社会の仕組みへの疑問が芋づる式に湧いてきたのだそうです。
食べ物への疑問にはどう対処したのですか?
2020年から大和郡山市に畑を借りて、自然農を学びながら野菜づくりを始めました。その2年後には、田舎への移住を本気で考えて、物件を探し始めたのです。
このままではいけないと思うことがあったら、行動を起こさなければいけないというのが私の考えです。
政府が推し進めようとしている「緊急事態条項」に強く疑問を感じている熊田さんは「黙っていてはいけない」と、綾部市の地域新聞「あやべ市民新聞」に緊急事態条項反対を表明する意見広告を40回以上、私費を投じて掲載しました。これも熊田さんの信条の表れ。移住についても、考え始めたら即行動するのが熊田さんらしいですね。
しかし、自分を厳格に律する姿勢とは裏腹に、熊田さんは表情も口調もいたって穏やか。適切な言葉を選びながら、とつとつと話す様子からは、対面する相手に真摯に向き合う人柄が伝わってきます。
家探しをするときに何を重視しましたか?
水です。豊かな水がある暮らしが最優先で、その条件だけは外せないと思って家を探しました。
綾部市の運営する「空き家バンク」で見つけたこの家は、山からきれいな水が常に流れていて、蛇口をひねれば天然水が出るのです。理想にぴったりでした。
熊田さんは、移住前は瓦職人として店を構えていましたが、昨年からは受注を止めて、移住後の生活に精力を注ぐようになったそうです。
今後は暮らしやすいように家を改修し、綾部で新たな仕事を探すかたわら、農業への道も探ろうとしています。
畑で少しずつ夏野菜を育て始めています。米作りもしたいのですが、経験がないので、練習のために家の前にごく小さな田んぼを見よう見まねで作ってみました。
移住後の暮らしのどこが気に入っていますか?
天然水を暮らしや畑でいつでも使えることや、家の周りで食べられる野草が潤沢に採れることです。
集落の人たちも親切にしてくれるので助かっています。
理想的な家と出合い、自分で食べ物を作る新しい暮らしに、熊田さんは期待を膨らませているようです。