移住立国あやべ

綾部からの声Voice

【物部に移住した経緯】
山根顕さん・安達伸子さん夫妻

東京都から物部地区西坂町に移住した山根顕さん・安達伸子さん夫婦。
移住された経緯や今の想い、今後についてを伺いました。

 

 

--移住をした経緯を教えてください

(顕)私は愛知県出身です。東京では食品関係の営業やマーケティングの仕事をしていました。当時の暮らしは仕事が中心で、休日でも旅行先でも電話対応するのが当たり前の状態でした。だんだん身体的にも精神的にも余裕がなくなり「このままではいけない」と思い、二人で話し合った上、将来は会社を辞めて地方で半農半Xの暮らしをしようと決めました。仕事に追われる日々では具体化することが難しかったため、まずは私が会社を辞めることにしました。

 

(伸子)私は茨城県の出身です。顕さんと同じく東京で就職し、医療機器の販促に関する仕事をしていました。元々食べることは好きだったものの、料理をすることがさほど好きだったわけではありません。本で知った調理法を実践しながら無理のない料理のスタイルを見つけたことがきっかけで、作る楽しさや食べる喜びが一気に広がりました。また、近所にできた定食屋で手伝いをした経験から、自分の中で「食を通じて人が集う場」を作りたいという夢が膨らんでいきました。

 

地方移住を決めてから、二人で各地を巡りながら《自分たちらしい生き方、暮らしができる場所》を探し始めた。いろいろな土地へ足を運び滞在する中で、それぞれに魅力的な出会いがあったという。

 

(顕)転機となったのは、綾部市の上八田町にある農家民宿「ぽかぽかのうえん」を訪れた時のことでした。夜の会食に、オーナーの呼び掛けで近隣に住む移住者の先輩たちが集まってくれたんです。話を聞くうちに「人が集う農家民宿の魅力」「小さな農のある暮らし」など、自分たちが思い描いていた「生き方」が結びついていきました。
 

食養研究家の若杉友子さん(若杉ばあちゃん)、半農半Xの塩見直紀さんなど、自分たちにとって「気になる人」が綾部に関係していたことも決め手の一つになったという。

 

(伸子)民宿を合計3度訪れ、3度目は顕さんが1ヶ月滞在しました。この1ヶ月の滞在中に有岡町の借家に出会い、2019年にまずは顕さんが移住。私は東京での仕事を続けながら綾部に通い、二人で物件探しを進めました。

 

先輩移住者の姿を見る中で、半農半XのXとして「農家民宿」がイメージにあったという二人。自分たちの思い描く物件を求めて、市の空き家バンク、知人を介しての紹介など、家探しに注力した。

 

(顕)2年以上をかけ50件を超える空き家をまわり、ようやく納得のいく物件に出会えました。時間がかかったけれど、その過程で小さな畑と田んぼでの農作業経験や綾部の暮らしを楽しむ時間が得られました。地域の行事や有志の団体にも積極的に参加し、人の縁に恵まれ、だんだん綾部の地にも馴染んできました。

 

2021年の秋に西坂町の家に引越しをした二人。準備期間を経て、同年の12月に晴れて農家民宿「一汁一菜の宿 ちゃぶダイニング」を開業した。

 

 

--今後の展望をお聞かせください

(伸子)まずは農家民宿を営む暮らしに慣れていきたいです。また、いずれは食堂のように「誰もが気軽に立ち寄り、ほっとしたり、元気になれるような場」にしていけたらという思いもあります。

 

(顕)綾部に来て、自分たちがやりたかった昔ながらのコメ作りや野菜作りを教えてもらえる、頼れる先輩移住者がいたことが大きかったです。また、地元の方から郷土料理やしめ縄づくりなど暮らしの知恵を教えてもらえるのが魅力的だと感じています。楽しく学びながら自分たちの暮らしに取り入れていきたいと思っています。

 

畑で季節ごとに採れる 色とりどりの野菜

 

小さな自給農を実践する顕さんと伸子さん。手刈りの稲刈り体験の様子(稲木干しを背に)。

農家民宿「一汁一菜の宿 ちゃぶダイニング」開業についての記事はこちら