【志賀郷に移住した経緯】湯上浩樹さん、麻美さん
以前住んでいた場所:神奈川県川崎市
現在の住所:綾部市金河内町
移住の時期:2022年8月
家族構成:夫婦
浩樹さんは1982年生まれ、麻美さんは1985年生まれ
都会からの脱出が喫緊の課題でした
浩樹さんと麻美さんは2020年に結婚。
浩樹さんはそれまで勤めていたIT企業を辞めて東京都心の飲食店に転職、麻美さんはオーガニック系のスーパーで働いていました。ちょうどコロナ禍が深刻さを増し、社会が不安と抑圧に苦しんでいた時期です。
湯上夫妻が本気で移住を考え始めたきっかけは、まさにコロナ禍でした。
都会の息苦しさから一刻も早く抜け出したかったのです。コロナ禍の緊急事態宣言の中、都会の町は灯りが消え、ゴーストタウンのようになっていました。
都会の異常な状況に息苦しさと不安を感じる日々でした。年を取ったら田舎暮らしがしたいと話してはいたのですが、それがコロナ禍によって大幅に前倒しになりました。
そう話す湯上夫妻が地方へ移住する決心を固めるには時間はかかりませんでした。
移住先に綾部を選んだのは、浩樹さんが「もともと関西に魅力を感じていた」からだそうです。有楽町の「ふるさと回帰支援センター」で移住の相談をしたときに綾部を知ったとのこと。何度か綾部を訪れるうちに移住の先輩などと次々と知り合うことになり、綾部に心が傾いていきました。
知人も仕事のあてもない移住は不安だったのでは?
それがそんなことはなく、移住してしまえばどうにかなると思っていました。キングコングの西野亮廣さんのオンラインサロンに参加していたので、その影響もあったのでしょうね。
移住の不安よりも、都会を抜け出すことの方が先決でした。「まずは行動!」というのが身についていたのだと思います。
こうして即行動を起こした湯上夫妻は、まずは綾部市街地に近い里町にアパートを借りて移住。目の前にある畑を借りて野菜づくりも始めました。
空き家を探して購入し、リノベーションを施すプロセスに時間をかけるよりも、すぐに入居できる賃貸アパートでまずは移住生活を始めた珍しいケースです。
湯上夫妻が移住を思い立ってから完了するまでのスピードの速さには、周囲も驚くほどでした。
移住後の暮らしはどうなりましたか?
二人ともすぐに仕事に就くことができて順調な滑り出しになりました。まず行動して、ダメならやり直せば良いという考え方が良かったみたいですね。
しばらくアパート暮らしをして、それはそれで満足していたのですが、やっぱり賃貸だと完全に自由とはいきませんよね。次第に気を遣わずに何でも作れる暮らし、薪ストーブのある暮らしがしたくなってきました。
こうして湯上夫妻は空き家探しを開始。
顔の広い知人の骨折りで空き家を次々と紹介してもらい、7~8軒見せてもらった結果、金河内町にある理想的な古民家に出合うことができました。それが現在暮らす家です。屋根や床を少しだけ改修することですぐに住めるほどしっかりした物件だったそうです。
里山暮らしを楽しむために、麻美さんは綾部で運転免許も取得しました。
綾部に根をおろしてから気づくことが多かったので、しばらくアパート暮らしをして綾部事情がわかってから古民家を購入したのはとても良い展開だったと思います。
市街地から離れた農村なので車は必須です。私は運転免許を持っていなかったので、免許を取らざるを得ない状況に自分を追い込むことが必要だと思っていました(笑)。
今の暮らしをどう感じていますか?
今の暮らしにはまったく不満がありません。金河内町は人と人との程良い距離感が心地よいです。地域の人たちには驚くほど歓迎していただけました。それにここは住んでいる人以外の車もほとんど入って来ないので本当に静かな環境です。田畑が目の前にあるのも気に入っています。
ご近所さんは機会があれば誘ってくれたり、野菜を持ってきてくれたりしてとても嬉しいです。かと言って干渉されすぎることもないんですよ。近くには小川があって、豊かな自然の景色が素晴らしいので、カーテンも取り払ってしまいました。
この家にはもちろん念願の薪ストーブも設置しました。縁側の天井に自分たちで和紙を張るなど、持ち家ならではの楽しみを存分に味わっているそうです。
これから移住を考えている人にアドバイスをお願いします
いきなり家を購入して移住するというのがハードルが高ければ、私たちのように賃貸アパートを借りるなど段階的な移住を考えるのが良いと思います。
住んでみないと分からないことが多いので、とにかくまずは移住してみることだと思います。特に人との繋がりを作るのが大事だと感じました。
すっかり綾部の暮らしになじんだ湯上夫妻。
今では金河内町での暮らしを心から楽しんでおり、友人・知人も日に日に増えています。
今年からは自分の田んぼで米づくりもスタート。目に入れても痛くない愛猫「凪」との幸せな里山暮らしです。