【物部に移住した経緯】篠畑淳さん
以前住んでいた場所:愛知県名古屋市
現在の住所:綾部市西坂町
移住の時期:2012年3月
篠畑さんと愛猫のおびちゃん
日本中を飛び回ってたメークアップアーティスト
経歴を教えてください。
愛知県豊田市出身です。
学生のころからメークやファッションに興味があったのですが、高校生当時は、流行の顔、モテるメイクというのが画一的だった時代。
みんな同じメークや「モテ」を意識したファッションに息苦しさやつまらない気持ちを感じているときにイギリスに留学することになりました。現地では一人ひとりがそれぞれ好きなメイクをして、自己表現をしていることに感銘を受けました。
けれども、ただ自分のやりたいメークをしているだけでは説得力がないなと考え、「メイクを自分の仕事にしてしまえば誰にも文句は言われないだろう」と、自分の仕事としてメイクと向き合いました。
念願だった有名化粧品ブランドに入社し、雑誌やファッションショーなどのモデルへのメイクをこなし忙しく飛び回る日々。仕事も遊ぶのも忙しく、いつ寝てたんだろうと思うほど。
10年近くバリバリと働く日々を過ごしたのですが、ある時、管理職への昇進を打診されました。
そのとき、「ずっと現場で職人として働きつづけたい」と退職。その後、フリーランスのメイクアップアーティストとして、実践を重ねました。
万福寺
念願の〝京都の〟お坊さんとの結婚
なぜ綾部に来られることになったのですか。
メイクアップアーティストは常に中腰でメイクをするので、職業病でぎっくり腰になってしまったのです。
それまでにも、激務がたたって疲れがたまるたび癒しを求めてよく京都へ旅行していたのもあり、疲れがピークに達し30代を過ぎたのを機に、「人生で一度は結婚したいな」「結婚するならお坊さんとしたい!」と思い立ち即行動!
〝京都の〟お坊さんと出会いを求めていろいろな場所に顔を出した結果、めでたく夫となる満福寺の住職と出会いました。
念願だった「〝京都の〟のお坊さんとの結婚」にあたって、「綾部を見てから結婚するかしないかを決めて」と言われはじめて綾部に足を運んだのですが、それまで「京都府はすべて京都市」だと思っていたんです!
京都駅から山陰線に乗り換え、綾部駅へ向かう車窓からは「よくある田舎の風景だな」と思っていたのですが、いざ綾部駅で電車を降り西坂町に向かう車中から、古民家のトタン屋根が見えたときはあまりの衝撃で、昔話の世界に迷い込んでしまったのかと思ったほどです。
想像をはるかに超える光景に緊張してしまって、なんと実家である万福寺の階段を上がれなかったんです…。
そんなとき主人は「神戸まで1時間半で行けるから、近いよ。」と優しく声を掛けてくれました。神戸が意外と近い、ということでわたしを励ましてくれてたんですね。
エステの施術をする部屋でくつろぐたびちゃんとおびちゃん
「お寺でエステ」をはじめる
綾部での暮らしはいかがですか。
生まれ育った濃尾平野はひたすら平地だったので、こんな近くに山を感じながら過ごすのは人生で初めて。
もちろん、雪とも無縁の生活だったので、初めて雪が積もったときには、思わずかまくらや雪だるまを作ってはしゃいだほど。
日々楽しく過ごしていたのですが、綾部に来て数年たったとき、ふと「あれ?わたし綾部に友達がいないんじゃないか」と思ったんです。
あるとき、ストレスから肌荒れがひどくなったことがあるのですが、今までの経歴で培ってきた知識と、美への探究心とを持ち合わせ、自力で治したんです。
そのことを知った近所のお寺のお嫁さんが「ぜひ私にもスキンケアを教えてほしい」「エステをしてほしい」と声を掛けてくれたことがきっかけて、お寺の一角でエステを開業し、先日2周年を迎えました。
エステに来られるお客様とコミュニケーションを取ってたのしくお話できる時間が嬉しいですね。
なにより、住職がエステ開業に背中を押してくれたことが心強かったです。
他のお寺が「寺泊」やキッチンカーなど様々な事業を手掛けるなか、お寺を身近に感じるウリのひとつになれば、と応援してくれています。
美と健康をサポートしたい
女性同士でスキンケアや美容に関する話をする姿はとても輝いてみえます。
顔にひとつ小さなニキビが出来ただけで、とても気分が落ち込んでしまうように、お肌は心のバロメーター。
「お寺」という癒やしの空間で、身も心もともに美しくポジティブにいられるお手伝いをしたいです。