古民家のチェックポイント1 「屋根」
古民家には正式な定義はありませんが、一般的には築後50年以上経過した家を古民家と呼ぶようです。農村部の古民家は築100年以上のものも少なくありません。それだけに、古民家を購入する前に、家の各所をよく観察することが大切です。
古民家に多い「缶詰屋根」
綾部の築100年以上の家に多いのは茅葺き屋根。茅の耐用年数は長いのですが、劣化すると葺き替えが必要となり、材料の入手が難しく、職人も少ないため非常に多額のお金がかかります。
そこでほとんどの茅葺き屋根はトタンで覆われ、茅を半永久的に維持できるようにしています。このような屋根は「缶詰屋根」と呼ばれ、トタンの下にはきれいな茅葺き屋根が残っています。
しかし、トタン屋根がメンテナンスフリーというわけではありません。トタンは定期的にメンテナンスを行わないと色が褪せ、錆びが生じ、ひどくなると割れたり穴が開くことがあるのです。錆びや損傷が進むと雨漏りの原因となり、放置すると家全体の劣化が進むことになるため、早急にトタンを撤去して葺き替える必要が出てきます。
トタン屋根は定期的なメンテナンスが必要
古民家は注意深く観察すべきポイントがたくさんありますが、屋根の状態は重要なポイントの一つです。トタンが錆びていないか、穴や割れ、ズレ、曲がりはないか、塗装の色褪せはどの程度かをよく観察してください。劣化の程度が軽度であれば塗装や部分的な交換で修復できますが、屋根全体の葺き替えが必要になると数百万円の費用がかかる場合があります。
現代では葺き替えの場合、トタンの代わりにガルバリウム鋼板が使われることがほとんどです。ガルバリウム鋼板はトタンと比べてはるかに寿命が長く、錆びにも強いという特長があります。
トタン屋根の寿命は適切なメンテナンスを行わないと15年程度ですが、10年に一度を目安に錆び止めと上塗りの塗装を施すことで寿命をかなり伸ばすことができます。
塗装費用は屋根の大きさや塗装業者によってバラつきがありますが、綾部市の一般的な古民家なら40~80万円程度でしょう。
屋根を好みの色にしてみる
塗装を機に屋根を自分好みの色に変えるのも良いですね。よくあるトタン屋根の色は黒、グレー、濃茶ですが、青や赤のものも見られます。ただし、周囲の景観になじまない突飛な色は、長期間にわたって集落の雰囲気に悪い影響を与えることになりかねないため避けるのが賢明です。
屋根の隙間は塞いでおく
古民家の屋根裏にはイタチやアライグマ、ネズミなどの小動物が侵入して棲みつくことがあります。動物が侵入しそうな隙間や穴は屋根に登ってみなければわからないので、塗装工事の際に確認をお願いし、発見したら塞いでもらうと良いでしょう。