移住立国あやべ

綾部からの声Voice

【西八田に移住した経緯】水田ウタコさん

高城山山頂にて

水田さん一家
以前住んでいた場所:
大阪市西淀川区(広島県出身)
現在の住所:綾部市上八田町(西八田地区)
綾部市への定住:2014(平成26)年、綾部市定住支援住宅(吉美地区)に入居
2016(平成28)年、西八田地区に転居
家族構成:夫婦・子3人

 

綾部に移住した経緯を教えてください

10年間ほど大阪市内で暮らしていました。
住んでいた場所は、自転車で梅田や難波といった繁華街にも出られる便利な住宅地。日々、都会での生活を楽しんでいました。

長男、次男と生まれ、都会での子育てが始まりました。
移動は主に自転車。自転車の前に次男を乗せ、後ろに長男を乗せ、右ハンドルにはおむつ、左ハンドルにはトイレットペーパー、前かごにはスーパーで買ってきた食材を山のように入れ、狭い路地を走っていました。暑い日も雨の日も風の日も。

寝落ちした二人を部屋に運ぶのも一仕事

公園で子どもを遊ばせるにも、まずはじめにポイ捨てされている吸殻や飲み物の空き缶などをよけることが必要な環境。マンションに住んでいたので、子どもたちの足音や嬌声が、階下や隣に住んでる人に迷惑になっていないか、といつもヒヤヒヤしていたように思います。

そんなある日、3.11・東日本大震災が発生。
混乱する情勢、錯綜する情報。今回はたまたま西日本に大きな被害はなかったけど、同じような災害がもし今ここで起こったらと想定すると、都会で住み続けるのはリスクが大きすぎるなと感じました。
狭いエリアにたくさんの人が住んでいて、隣近所とのお付き合いも少なく頼る人もいない。ライフラインが止まると身動きが取れない、不安だらけでした。

ちょうどその頃、大学時代の友人が夫婦で田舎に引っ越したと聞き、子どもたちを連れて遊びにいきました。
愛知県と岐阜県の県境に近い山深い場所。緑に囲まれて、田畑を耕し、薪を割り、火を起こし、忙しくも自然とともに暮らしている友人の姿を見て、それまでの「都会で暮らし、休みの時は田舎にいく」スタイルを「田舎で暮らし、たまに都会に遊びに行く」にひっくり返したほうがうまくいくんじゃないかなと漠然と思いました。

いきいきと遊び回るこどもたち


薪で火をくべる

たまたま夫婦とも同じタイミングで同じベクトルで「田舎に移住しよう」という考えが持てたことはラッキーだったと思います。私も夫も田舎で生まれ育ったので、このまま都会で孤軍奮闘育児して疲弊していくよりも、田舎で育児するほうがイメージがわきやすかったのかもしれません。

移住に向けての行動

そこから、「田舎 移住」「家族 移住」などといったキーワードでネットで検索し、ヒットした自治体のサイトを眺め、またほかの場所も探して、の繰り返し。
数回、大阪市内での移住フェアにも参加し、自治体の人などに相談に乗ってもらいました。

最初は「暖かいところ」「日本酒がおいしいところ」「海が近ければいいな」など漠然とした理想から移住希望エリアを絞っていきましたが、なかなかぴったり合う場所はなく。なんといっても仕事と住まいが同時期に見つからないことに焦っていました。

そんな中、綾部市が定住支援住宅の入居者を募集している、という情報を夫が見つけてきました。
月額3万円で古民家に住める、最長3年。
場所も高速道路のインターの近くだし、市街地にもそう遠くない好立地。
とりあえず3年間お試しで住んでみれるという気軽さがいいなと思い、受付期限ぎりぎりで申し込んでみました。

その時はじめて綾部市に行き、市役所で市の職員さんと自治会長さんなどを交え、面談。
面談といっても堅苦しいことは特になく、顔合わせといった雰囲気。
騒がしくちょこまかと落ち着きのない息子達にも優しく暖かく接して頂き、受け入れてくれてるなと嬉しく思いました。

その後、住宅の契約が決まり、半年後に移住することになりました。
夫は一足先に福知山での仕事が決まったので、その間は週末は大阪、平日は単身赴任、というかたちをとりました。

2014年の3月に綾部に移住。
縁もゆかりもなかった綾部に移住することに周りからは驚かれました。これまでに何組もの友人が遊びにきてくれて、綾部のことを気に入ってくれているのが嬉しいです。

こども園から帰ってきて日が暮れるまで近所の子と遊ぶ

綾部での暮らしはどうですか

2年間、定住支援住宅に住んだ後、長男が小学校に入学するタイミングで西八田地区の古民家を購入し、引っ越しました。
現在は私も夫も会社勤めをしながら、自治会活動、PTA活動、消防団での活動、田畑も少々、といそがしく暮らしています。
今住んでいる西八田地区の暮らしや人にフォーカスをあてたにしやたキラキラ情報局に参加して、にしやたキラキラチャンネルというyoutubeの撮影などもしています。

綾部のどんなところに魅力を感じていますか。

「綾部にはなぁんもない」と言うのをよく耳にします。世界遺産があるわけでも、誰もが知ってる寺社仏閣があるわけでも、超有名スーパーや遊園地があるわけでもない。
けれども、たまのお出掛けで高速や電車に乗っちゃえば、それらのものには割とすぐどこでもアクセスできる利便性があります。
目新しいものや流行最先端のものはないのかもしれないけど、そんなことよりも、風光明媚な景色に囲まれ、穏やかな人に囲まれ、自然とともに生活できることって今の時代にとってはとても貴重なことだと思います。

綾部に移住して来て思ったことは「ぎらぎらした看板が無いこと」と「木や花の色彩がとても鮮やか」ということ。
運転しているだけでも、季節ごとに色合いを変える色彩に、毎年感動を覚えます。
美しい風景の中で暮らせることがなによりも贅沢なことだと実感しています。子どもたちも季節の移り変わりに敏感になったように思います。

宮代町の八幡児童公園で

今後、田舎暮らしで心配なことはありますか。

車の運転ができなくなったらどうしようかなと心配になることはあります。車に乗れないと不便なところに住んでいるので公共交通機関での移動には限界があります。
あとは、今もですけど、子どもの通学や習い事に関する送迎のことは大変だなと思うことはあります。
子どもが大学に進学した時、「子どもが綾部を離れるときに一緒について行く」人が周りに何人かいるので、もしかしたらそういう選択もありかもしれません。その辺りは柔軟に、その時々の成長や生き方に応じて暮らしを選んでいきたいです。

移住を考えている人に何か一言お願いします

もしかしたら「都会を離れる」「田舎に行く」と言葉からマイナスイメージを強く思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれども、綾部に移住した人の多くは、失ったものより得たもの、新しい出会いや発見が多くなった人が多いように思います。私もそうです。
まずは1泊でもいいので足を運んでみて、綾部の空気や雰囲気を感じてみてください。
そのときに、農家民宿に泊まったり、ここらへんのことつたえ隊に会ってみたり、ぜひともいろいろな人と会ってみてほしいです。

上林城址で