【この人がいるから綾部で暮らしたい】わのくにのヨガ 松尾圭子さん
「出会い」が移住の理由に
「この地で暮らしたい」と移住を思いきる時というのは、「あの人がいるから」「あの場所があるから」など、強く惹かれる何かとの出会いが理由になることもあるのではないでしょうか。そしてきっと「その人がいる」「その場所がある」から安心して暮らせる、心の拠り所になっているということも。
松尾圭子さんの「わのくにのヨガ」
自身も9年前に志賀郷地区に移住した「わのくにのヨガ」を主宰する松尾圭子さんを紹介します。
松尾さんのヨガ教室が睦寄町にある「和宿オリジン」で5年ほど続けられています。
今回の参加者は6人。近況報告、最近の心境や体調などを気軽な様子で一人ずつ順番に話していくことから始まります。松尾さんは体の痛みや不眠など、それぞれの心身の状態や困り事に合わせた動きをその日のメニューに取り入れます。
床に座って足の指をほぐしたり、足首を回したりといった動きから、だんだんと負荷がかかる動きに移っていく中で、「もっと上手くできるんじゃないか」「なんだか痛いような気がするけれど少しくらい無理をしても大丈夫だろう」とさらに圧力を強めようとしたところで、「完璧を目指さずに」「無理をしない」「プロセスを大切に」という言葉が絶妙のタイミングで掛かります。
やったことがない動きをするとがんばろうという気持ちが出てきますが、そんな状態にあることを〝観察〟してほしい。
と松尾さんは話します。ここでの観察は、
(いろいろなことを感じている)自分自身を否定も肯定もせずに、ただ尊敬と信頼の気持ちで観ること。
なのだそうです。普段いかに自分自身を動かそうと奮起し、コントロールしようとしているかということに気づかされました。
本質は「余韻」を味わうこと
上半身を後ろに捻って元の位置に戻すと、負荷がかかったことによる「だるさ」と負荷から解放された「心地よさ」の両方を同時に感じました。松尾さんはこれを〝余韻〟と呼んでいます。
体を動かすことがメインではなく、動かした後に訪れるなんとも言えない感覚や気持ちよさにこそ本質があると考えているのだそうです。これをじっくり味わうことで体はさらに緊張を解き、時にはその日のその瞬間のその人にしかわからない感覚がもたらされることもあるのだといいます。
〝余韻〟という言葉の意味がわからないでいた英語圏出身の芸術家の女性が「afterglow(残照・残っている輝き)」と説明されて、「ああ、光ね」と感嘆していました。光は目に見えるものなので日本語の意味とは違っているように思えますが、体中に広がるなんとも言えない気持ちよさを絵で描くとしたら淡い光のように見えるのかもしれません。
毎回楽しみにしているという70代の女性は「翌日すごく気持ちがいいんです」と話していました。習って帰るだけでなく「この時間が豊かなものであるように」と願う松尾さんが伝えるヨガはその場だけの体験に終わりません。
誘導に従ってヨガの動きを行っていると、体が緩むだけでなく、常に忙しく働かせている頭の中が静かになり、雑音のない安らかな気持ちになりました。このことを参加者の一人が「あの世との境がわからなくなる」と表現していました。
「わのくにのヨガ」開講場所
▽和宿オリジン(睦寄町向隅7-1) 毎月第2火曜午後1時30分から
▽お好み焼き 順路(安国寺町森の腰40) 毎週月曜午前10時から
▽志賀郷公民館など綾部、福知山で不定期で開催。
▽その他にJA京都にのくに吉美ふれあいセンター(会員制)、zoomによるオンラインでも開講しています。問い合わせは松尾さん(080-2483-4378)へ。ショートメール可。