chirp(チャープ、雑貨店)
おもちゃへの思いを形に
「木のおもちゃ」と聞いて子ども向けの玩具を想像する人は少なくないだろう。雑貨と木のおもちゃを扱う店と聞き、訪れたchirp(チャープ、大島町)は良い意味で想像とは少し違う店だった。海外製のおもちゃやボードゲームが目に留まる店内では優しい音楽が静かに流れている。並べられた木製のおもちゃからは、いわゆる「おもちゃ」らしからぬ雰囲気を感じる。その雰囲気の正体とは一体なんだったのか―。
店主の芦田佐知子さんは福知山市出身。長年勤めた保育園を退職後、2014年に雑貨・木のおもちゃchirpを大島町にオープンした。昔からお店をする憧れはなんとなくあったが「おもちゃを扱う雑貨のお店をしたい」という思いが膨らんでいったのは、保育士時代におもちゃコーディネーターの養成講座を受講したのもきっかけの一つになっている。その後、おもちゃに関する関心も深まり、東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)認定資格である「おもちゃコンサルタント」も取得した。
また、気軽にお客さんにお店に寄ってもらえるよう「コーヒーの一杯くらいは出せたら」との思いからコーヒーについても学んだ。持ち前の行動力をもって自分が描いた夢を現実のものにした芦田さんに、店への思いを聞いた。
研究されたおもちゃの魅力
扱う雑貨やおもちゃはどのように選んでいるのですか。
ヨーロッパのものを中心に雑貨や木のおもちゃを揃えています。店に置く基準は「自分の好きなもの」ではありますが、「遊べるだけではなくインテリアとしても楽しめるもの」というのも商品を選ぶポイントの一つになっています。一つひとつ手仕事で作られたものに魅力を感じますね。
ヨーロッパのもの以外にもフェアトレードの商品はアジア圏の雑貨も扱っているのですが、それでも「統一感のあるお店だね」とお客さんに言ってもらえるのは「これを置きたい」というイメージが固まっているからなのかな、と感じています。
世の中の問題を解決できるような商品はありますか。
フィンランド発祥の「モルック」です。木の棒を投げるスポーツでありながら、計算が必要なので頭もちょっと使います。誰かと一緒に屋外で日光を浴びながら体を動かすことができて、何より楽しく、免疫力だって高まります。キーンとした空気を吸いながらする冬の朝モルックも最高でした。
フィンランドTACTIC社、日本正規品のモルックを取り扱っています。日本モルック協会の試合ではこの公式のモルックが使われています。日本代表になって世界大会に出場するのも夢じゃないかも?
chirpだけの魅力、オンリーワンと言えるものはありますか。
店内に置いているボードゲームで遊んで頂けることでしょうか。ゲームはただ争う、競うものではなくて一つのコミュニケーションツールだと考えています。ゲームに熱中するとその人の性格が垣間見えますよね。もっとよく知りたい、と思う人との時間を当店で過ごして頂ければと思います。
大人がうしろめたさを感じず一人時間を楽しむ場所に
今後どのような店にしたいと考えていますか。
おもちゃを取り扱ってはいますが子ども向けの店とは考えていないんです。まずは大人の方に当店のおもちゃを体験してもらいたいですね。主に置いているのはドイツ製のおもちゃですが、よく研究されて作られているところがとても魅力的です。そして大人が楽しむということは、その先には何かしら子どもたちにも伝わっていくことがあるんじゃないかと思っています。
◇
そう、chirpに置かれているおもちゃには幼児向けアニメのキャラクターが一切描かれていない。そういったものが描かれていると、大人は「これは子ども向けの玩具」という先入観が働いて敬遠してしまうものだ。
しかしchirpの木のおもちゃは語りかける。「あなたも遊んでいいんだよ」と。これこそが「おもちゃ」らしからぬ雰囲気の正体だったのだ。
大人にとっては心躍らせるものだけが遊びではないだろう。うしろめたさを感じることなく、一人の時間をゆっくりと楽しむ。そんな遊び方ができる店でありたい―と芦田さんは微笑んだ。
綾部市大島町二反田25
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電話 0773-45-8318